マナー研究所長ギフト選びの最後の難関、それが「のし(熨斗)」の設定です。 通販のプルダウンメニューには、「蝶結び」「結び切り」「仏事用」などがズラリと並んでいて、どれを選べばいいか迷ってしまいますよね。



そうなんです。画面を見ても、どっちが結婚用で、どっちが出産用なのかパッと分からなくて…。間違えて失礼になるのが怖いです。
のしのマナーは、「水引(真ん中の紐)の形」さえ理解してしまえば、実はとてもシンプルです。 「形」にはそれぞれ明確なメッセージ(意味)が込められているからです。
本日は、元百貨店員として、通販サイトの選択肢によく出てくる「のし・水引の種類別」に、正しい使い分けと表書きを整理しました。 注文画面と見比べながら、正解を選んでくださいね。
【種類1】蝶結び(花結び)
= 何度あっても嬉しいお祝いに


- 形の特徴: 靴紐のリボンのように、引っ張れば解けて、何度でも結び直せる形です。
- 込められた意味: 「何度繰り返しても良い」「何度あっても嬉しい」
この水引を使うシーン(正解)
人生で繰り返し起きることが望ましいお祝い全般に使います。
| 用途 | 表書き(上段)の例 | 備考 |
| 出産 | 御祝、御出産御祝、内祝(お返し) | 子供は何人産まれても嬉しいため。 |
| 入学・卒業 | 御祝、祝 御入学、内祝 | 成長の節目は何度あっても良いため。 |
| 新築・開店 | 御祝、御新築御祝 | 家や店は何軒増えても良いため。 |
| 長寿・御礼 | 祝 還暦、御礼、御中元、御歳暮 |



「結婚」と「お見舞い」には絶対に使いません。「再婚」や「病気の繰り返し」を連想させてしまうためです。ここだけは注意しましょう。
【種類2】結び切り・あわじ結び(10本・紅白/金銀)
= 結婚(一度きりの固い絆)に




- 形の特徴: 固く結ばれて解けない「結び切り」か、輪が重なった「あわじ結び」。水引の本数が通常の倍の「10本」になっているのが特徴です。
- 込められた意味: 「固く結ばれて離れない」「生涯一度きりの慶び」
この水引を使うシーン(正解)
基本的に「結婚関係」専用と考えてOKです。
| 用途 | 表書き(上段)の例 | 備考 |
| 結婚祝い | 寿、御祝、御結婚御祝 | |
| 結婚内祝い | 内祝、寿 | 下段には新姓または夫婦連名を書きます。 |



通販サイトによっては、10本ではなく「7本」の結び切りが表示されることもあります(略式)。 こだわりがなければ「10本」がより丁寧(主流)ですが、選択肢になければ7本やあわじ結びを選んでも失礼にはなりません。
【種類3】結び切り・あわじ結び(5本・紅白)
= 快気祝い(二度と繰り返さない)に




- 形の特徴: 固く結ばれて解けない形。水引は通常の「5本」です。
- 込められた意味: 「二度と繰り返さないように」「今回きりで終わる」
この水引を使うシーン(正解)
病気や怪我に関する贈り物に使います。
| 用途 | 表書き(上段)の例 | 備考 |
| 快気祝い | 快気祝、快気内祝 | 病気が全快した時のお返し。「きれいに治った(断ち切った)」という意味。 |
| お見舞い | 御見舞 | ※お見舞いは「のしあわび(右上の飾り)」が無いものを使います。 |



お見舞いの場合、最近は「水引なし」の赤い帯だけの封筒や、白封筒を使うことも増えています。「形式張りすぎない」配慮として有効です。
【種類4】結び切り(黒白・黄白・双銀)
= 弔事・お悔やみ(二度とあってほしくない)




- 形の特徴: 色が「黒と白」「黄色と白」「銀色のみ」などの結び切りです。
- 重要: 右上の**「熨斗(のし)あわび」の飾りが付いていません**。(正確には「のし紙」ではなく「掛け紙」と呼びます)
- 込められた意味: 「悲しみが二度と繰り返さないように」
この水引を使うシーン(正解)
お葬式、法事、香典返しなどに使います。地域や宗教によって「色」が異なります。
| 水引の色 | 主な用途・地域 | 表書き(上段)の例 |
| 黒白(こくびゃく) | 全国的(特に関東〜東日本) 仏式全般で最も一般的。 | 志、粗供養 |
| 黄白(きしろ) | 関西〜西日本の一部 法要や香典返しでよく使われます。 | 志、粗供養、満中陰志 |
| 双銀(そうぎん) | 神式・キリスト教 または高額な香典返し。 | 志、偲草(しのびぐさ) |



弔事の色選びは地域差が激しいです。香典返しは「喪家の地域」で問題ないと思いますが、香典は「送る相手(喪家)の地域」に合わせるのが一番安全です。分からない場合は、全国的に通じる「黒白」を選ぶのが無難でしょう。
香典の熨斗の表書きも、地域や宗教で変わります。御霊前・御仏前・御神前・御花料などあります。一般的な考えは以下になります。
- 御霊前(仏式・49日前)
- 御仏前(仏式・49日後)
- 御神前(神式)
- 御花料(キリスト式)
【名前・包装】ここも忘れずにチェック
水引が決まったら、最後に「名前」と「包装」を確認して完了です。
下段(名入れ)の書き方
水引の下には、「贈り主(あなた)」の名前を書きます。
- 一般: あなたの名字(またはフルネーム)
- 出産内祝い: お子様の名前(ふりがな)
- 結婚内祝い: 新姓(または夫婦連名)
「内のし」と「外のし」の使い分け
- 内のし(包装紙の中)
- 配送(郵送)する時におすすめ。のしが破れず安心です。また「控えめ」な意味合いから、内祝い(お返し)にも好まれます。
- 外のし(包装紙の上)
- 手渡しする時におすすめ。どんな目的の贈り物かが一目で伝わります。
まとめ:形を見れば「心」が分かる
今日は「水引の形から選ぶのしのマナー」について解説しました。
- 蝶結び = 何度あっても嬉しい(出産・入学)
- 結び切り(10本) = 結婚専用
- 結び切り(5本) = 快気祝い・お見舞い
- 黒白・黄白(のし無し) = お悔やみ
通販の画面で迷ったら、この4つの形と色を思い出してください。 「この形だから、こういう意味なんだな」と分かれば、もう怖いものはありません。
正しいのし紙を選んで、あなたの「おめでとう」や「ありがとう」の気持ちを、まっすぐに届けてくださいね。










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