マナー研究所長この度は、ご受章まことにおめでとうございます。 いよいよ伝達式・拝謁(はいえつ)の日が近づいてきましたね。衣装や靴の準備は完璧でしょうか?



だいたい揃いました!…でも、何か大事なものを忘れている気がして。当日になって「アレがない!」ってなったら怖いんですが…。
結論から申しますと、叙勲・褒章の当日において、「持っているだけではダメなもの」と「持っていないと手遅れになるもの」が2つあります。
百貨店の贈答品売場におりました私、花村の経験から申し上げますと、当日の朝になって「金具がない!」「袋がない!」とご家族が走り回るケースを何度も見てきました。 せっかくの栄誉ある日、冷や汗をかかずに過ごしたいですよね。
今日は、式典当日に「これがないと詰む(困る)」2つのアイテムと、その後の祝賀会の流れについて、実務的な視点でご案内します。
【落とし穴1】「勲章」はあるのに「つけられない」!?
最大の落とし穴がこれです。 **「勲章は、当日持っていくもの」という事実と、「金具がないと服につかない」**という事実です。
勲章は「事前」に届きます
多くの場合、勲章や勲記(賞状)は、式典の前にご自宅に届くか、所轄庁で受け取ることになります。 つまり、当日は「ご自身の勲章を持参し、会場で着用して」拝謁するのです。
「当日、会場でもらえるんでしょ?」と思って手ぶらで行くと、ご自身だけ胸元が寂しい状態で並ぶことになります。まずは「勲章を持っていく」をお忘れなく。
必須アイテム「佩用金具(はいようかなぐ)」
そしてここが重要です。 小綬章・双光章・単光章・褒章などは、勲章の裏にクリップがついているわけではありません。 「佩用金具(はいようかなぐ)」という専用の金具がないと、衣装(モーニングや留袖)に装着できないのです。
- 以前、完璧に正装された受章者様が、会場で初めて「金具がない!」と気づき、同行のご家族が顔面蒼白で売店を探し回った…という事態がありました。 金具は貸衣装店やホテルで買えることもありますが、「あるかも」に賭けるのは危険すぎます。
- 数百円〜数千円のものです。内定が出たら、すぐにネット等で購入し、当日は「予備も含めて2個」持っていくのが、百貨店員流の「安全策」です。
【落とし穴2】帰りの荷物が「手で持てない」!?
2つ目は、帰りの持ち物です。 式典が終わった後、皆様の手には何があるでしょうか?
記念の「お菓子」を入れる風呂敷
拝謁の際、記念品として「菊紋の入ったお菓子(恩賜の菓子など)」をいただくことがあります。 これは箱に入っていますが、スーパーのような「手提げ袋」がついているとは限りません。
フォーマルな服装(モーニングや色留袖)で、お菓子の箱を裸で抱えて電車やタクシーに乗るのは、あまりスマートではありませんよね。
そこで必須になるのが「風呂敷」または「小さくバックに入る布製の手提袋」です。 かさばらない薄手の風呂敷を一枚、カバンに忍ばせてあるといいです。「風呂敷」なら サッと包んで持ち帰る所作は美しくなります。
【その後】祝賀会は誰が開く?
無事に式典を終えたあと、お祝いの席(祝賀会)を設けることが多いですが、ここでも準備の段取りが変わります。
1.ご本人主催なら「内輪で静かに」
ご親族や親しい友人数十人を招いて、ホテルや料亭、あるいはご自宅で行います。 形式にとらわれず、勲章を披露して、受章を称える意義を静かに味わう時間ですね。 宴の終わりには、受章者ご本人がお礼の言葉を述べます。
2.発起人主催なら「内祝い」の準備を
ご友人が「発起人(ほっきにん)」となって、会費制の盛大なパーティを開いてくれる場合もあります。 この場合、発起人はご受章者の意向(誰を呼びたいか)を確認して設営します。
メリット: 会費にお祝い分が含まれることが多いため、その場で「内祝い(お返し)」をお渡しできるのが最大の利点です。 ここで配る品物は、やはり「菊花紋章入り」の記念品(時計、漆器、カステラなど)が鉄板です。
勲章は「当日持っていく」もの。手ぶらはNG。
金具がないとつかない。「佩用金具」は事前購入を。
帰りの荷(お菓子)のために「風呂敷」をポケットへ。
正解は一つではありませんが、この「物理的な準備」さえ整っていれば、当日は心置きなく栄誉ある時間を過ごせるはずです。 ご家族皆様にとって、誇らしい一日となりますように。







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